2007年3月号
死を避けるために生きている
生命はちょっとしたことで死んでしまう。だから死を避けるために、大変です。
なぜ我々は呼吸するのか?
答え:呼吸を止めるとすぐに死んでしまうから。
なぜ我々は食べるのか?
答え:食べないと、飢えて死んでしまうから。
なぜ我々は勉強するのか?
答え:勉強すれば知識が身について、仕事に就ける、社会の中で生活できる。死なずに済むから。
なぜ我々は結婚して子どもを作るのか?
答え:子どもがいれば、「親なんだからしっかりしなくちゃ。死んではいけない」と頑張れるから。
結局、我々の人生そのものが、何とかして死を一日でも延期しよう、という努力の積み重ねなのです。しかし、その努力は決して報われず、必ず失敗します。
「人は誰であろうとも必ず死ぬ。死は歳を選ばない。生きることは大変だが、死はいとも簡単に訪れる事実である。」
ブッダの言葉はそのまま、瞑想(死随念)の文句です。事実を認めることで、私たちは智慧の土台になる落ち着きを得るのです。