あなたとの対話(Q&A)

冥想を妻になじられた/離婚するまで夫とどう接すればいいか・他

パティパダー2011年3月号(163)

毎日、仕事から帰宅して一人で早く部屋に入って瞑想しているのですが、それを妻になじられました。子供のこととか、あなたに相談したいことがあるのに、いつも話も聞かずに部屋に逃げてしまうと。自分としては家族の幸福も願って瞑想しているつもりなのですが……。どうすればいいのでしょうか。

それは奥さんの方があなたに良いアドバイスをしたと思います。家族というのは女性の世界なんです。女性というのは家族の面倒をみるためにたいへん苦労されていますよ。日本の総理大臣がしている仕事だって、それに比べればどうでもいいことです。人間の面倒をみることは絶対に必要な仕事なのです。家族にしても、ぜんぶ女性が一人ひとりの命を心配して、面倒を見ているんです。あなたが奥さんから批判されるとしたら、それは自分に問題があるのです。

 答えは簡単です。女性が言っていることをそのままやればいいんです。「慈悲の瞑想」をするばかりではなく、自分が慈悲を実践しているのだ、人格的に成長しているのだ、いうことを何らかの形で皆に実感してもらわないとダメなんです。お父さんが急に優しくなったとか、お風呂掃除とか率先して家事をしてくれるようになったとか、子供と遊んでくれるようになったとか。性格が変わったということを実感してもらわないと。仕事から逃げて、奥さんと話しあうことから逃げて、それで「瞑想します」なんて言ってもうまく行くはずがないのです。冥想もうまくいかないし、社会で生活することもうまくいかなくなります。自分の責任から逃げるということは、悪行為なんですよ。自分の責任から逃げることの言い訳に冥想を使ったら、瞑想することも悪行為になってしまいます。

 そういうところ、考えて気をつけてみたらどうかと思います。家の仕事もやってみて、子どもの面倒も見て、義務を果たした上で、「はい、ではこれからお父さんの時間だよ」といえば、家族も認めてくれるはずです。そうやって確保した自分の時間を冥想に使えば。

 家族のなかでは、女性のいうことは聞いたほうがいいのです。命を産んで育てるという、人間にとっていちばん重要な仕事を運命的に任されていますから。女性の立場からは、男がやっているような「その他」の事はどうしても、うるさいと思っちゃいますよ。男性がやっていることで、なくてはならないことって一つもないでしょ?ゴルフしたり、絵を描いたり、政治したり、科学の発見をしたり、会社で製品開発したり、哲学的な思考にふけったり。携帯電話もテレビも、もともと無くてもどうってことないでしょう。男の世界というのはおもちゃをつくって遊んでいるだけ。子供におっぱい上げてる女性からすれば、自分の夫がエジソンのような発明家だったとしても、腹がたつんです。大事な発明だとか研究だとかいっても、それは男性の論理で、女性からすればおむつが濡れて泣いている子供のほうが大事なんです。そういう男性と女性の差を理解したほうがいい。どう考えても、命がだいじです。オモチャは別にいらないんです。

 そうやって、男性も「命が大事だと」いう女性の価値観に気をつけていれば、うまく家族生活が送れると思います。

夫と離婚したいと思っています。夫は魅力のない人間で、話をするだけで嫌になります。早晩離婚するつもりですが、離婚したいと思っている人と、離婚するまでの間、どういう気持ちで暮らせばいいものでしょうか。

慈しみの実践をしてください。女性はあえて慈悲の冥想をしたほうがいいんです。命を守り育てることが女性の仕事ですから、それから外れてしまうと、精神的にかなり不安定になるんです。女性は自分が命をささえて守っているということを実感すると、精神的に落ち着くんです。これから離婚するこの人も、どうか幸福になってほしいと思っていればいかがでしょうか。その人との関係が、夫婦か、それ以外のものか、というだけの違いでしょう。相手が一人の男になるだけです。自分が他の男性にどんな態度を取るのか、ということです。

 あなたが普通に他の男性と接する時と同じ態度でいればいいでしょう。相手に怒り憎しみをつくらないで、慈しみを持つことです。夫婦といっても思考パターン、生活パターン、性格がちがうと一緒に生活できないことがあるものです。それで別れることは、一向に構わない。でもそこで相手を憎むのではなく、生命として慈しみを持って、「一緒に生活できなくても、あの人にはしっかり幸福に生きて欲しい」と願えばいいでしょう。とにかく、人間を敵にだけはしないでください。そうすると自分の人生が崩れてしまいます。誰であれ、人間同士として仲良くしないといけないのです。慈悲の気持ちで生活しないといけないんです。

14年いっしょに暮らした猫が死んでしまいました。悪いところに生まれ変わっていないかと心配です。その猫のためにしてあげられることが何かあるでしょうか。

他に猫を飼うしかないんですね。余計なことを考えるのはやめてください。死別というのは悲しいし、特にペットが亡くなると辛いと思いますが、それは人の感情ですから。その動物が悪いところに生まれ変わったとかいっても、こちらからは何もできないでしょう。新しく他の猫を飼うか、悲しい思いをしたくなければペットを飼うことにさよならするか。ペットはどうしても自分より先に死にますから。それを理解しないといけません。ペットも生命ですから、当然、輪廻転生します。しかし、輪廻転生する先は、誰にも知られない。業の法則で、どこか相応しいところに生まれ変わるだけです。それは我々には管轄外のことです。

最近、夢に嫌いな人が出てきます。どのように考えればよいのでしょうか?

それは、自分が相手(嫌いな人)のことを気にしているだけのことでしょう。こころが混乱状態で落ち着きのないとき、夢を見ます。ですから、夢を見たということは、どこかで自分の落ち着きが壊れていたり、興奮したりしているのです。それを理解しておけばいいだけの話です。夢の意味について、いちいち解釈しても、妄想が膨らんで苦しくなるだけです。
 
 夢に見る現象には、特に意味がないのです。そうではなく、「その現象がこころに作った気持ち」、それが夢の意味なのです。いずれにしても、気にしないでください。慈悲の瞑想をして寝る人は悪夢を観ません。夢の中で怒ったり、嫌な気分になっただけでも、こころは汚れます。私たちは24時間、こころが汚れないように気をつけたほうがいいのです。ですから、寝床に入ったら、必ず『慈悲の冥想』をして寝ることです。そうすれば、夢はほとんど見なくなるし、悪夢などはまったく観なくなります。