2006年8月号
五戒を守るだけで充分ですか?
ある方が、「これからの人生、五戒だけでもしっかり守ろうと思います」と言いました。人として五戒だけでも守っているならば、至上の財産を持っているようなものです。それで幸福になるのは決まっています。
もしも「瞑想を一時間しよう」と思ったら一時間かかります。仏教の本を読むにもそれなりに時間が必要です。それに比べれば、日常生活で五戒を守るのはごく簡単なことです。五戒を守っている人は、けっこう時間の余裕が生まれます。
ウソをついたり不倫したり、五戒を守らずに生きると、かえって悪をごまかすために時間のロスが多くなって、人生は忙しくなるのです。このように、「五戒だけでもしっかり守ろう」という生き方をすれば、今世で幸福になれますし、来世の心配もありません。
でもそこで満足せずに、「ブッダの教える無常という真理もとことん理解してやるぞ」と頑張ってみてほしいのです。「無常を発見することは無理」とは誰にも言えません。修行が進まないようにと、感情が足を引っ張りますが、それは誰でも同じことです。謙虚は素晴らしい美徳ですけれど、決して自分を過小評価してはいけません。
五戒を守って時間に余裕が出来たら、次は、智慧の扉を開く番です。また、人生はいつでも順風満帆とは行きません。いつか「ウソを言わざるを得ない状況」に陥ったら、そこが五戒を守る人の勝負どころ。「勝負」だから、そんな時こそ頑張って勝たなければいけません。
勝負に勝つための秘訣が何だか、もう分かってますよね? そう、智慧を働かせることです。五戒を守る人が真理を理解しようと励むならば、智慧を開発するならば、いついかなる時も、正しく気楽に生きられるようになるのです。