2021年10月号(179)
幸福になるための四条件(下)「自己制御と、前もって準備すること」
※前回に続いて、人生を幸福に導くための四つの条件を紹介します。
第三の条件は、「自己制御」です。道徳を守って、自分で自分の行動や感情が暴走してしまわないよう制御することを意味します。周りに道徳を教えてくれる人がたくさんいるなら問題ありませんが、いない場合は自己制御が必要になります。たとえ皆がだらしない言葉遣いや振る舞いをしていても、自分は決して同調しないことです。自己制御に努めて、人生のポリシー(方針)として揺るがないように持っていなくてはいけません。たとえば日本の社会では、学生同士の集まりや社会人としての付き合いで酒を飲むはめになりがちです。酒を飲まないと決めている人がそういう場に参加しても、「私は飲みません」と毅然とした態度でいられるでしょうか? 自己制御する場合は、公でもプライベートでも、他者に見られていても見られていなくても「私は道徳を犯さない」と覚悟しなくてはいけません。この覚悟によって、自分の内面(精神)を育てることができるのです。これは環境や人間関係に頼ることができない成長の課題です。
内面を育てることによって、自分が何者になるのかが確定します。行為は、先に「〇〇をする」という意志の確定がなければ始まりません。しかし、何をするにしても間違った行為・悪行為を避けて、正しい行為・善行為をしなくてはいけません。自己制御によって、人生を常に正しい方向へ導くことができるようになります。それでも、頑固・傲慢になってはダメです。自分の内面が育てば育つほど、柔軟性も身につくようになります。何事も完璧ということはないのだから、「間違いに気づいたらその都度直す」という態度が柔軟性に繋がるのです。
第四の条件は、「以前になされた善行」です。現代的に言い換えれば「前もって準備すること」ですね。これは、「幸福になるためには、そのための下準備が必要である」という教えです。何もしないでも、幸福が空から降ってくるようなことはあり得ません。たとえばテストに合格したければ、必ず前もって勉強しなければいけないでしょう。適切な勉強をしておけば、テストに合格することができます。そうやって、結果を出すために予め習熟しておくこと、実力を磨くことが「以前になされた善行」の意味になります。善い結果を得たければ、原因を調べてその結果に適した善い行いをしなければならない。これは宗教的な教えではなく、人生の中で誰でも確かめられる、ごく当たり前の真理なのです。
①環境、②人間関係、③自己制御、④前もって準備すること、という四つの必須アプリを人生にインストールして、それぞれの幸福に向けて歩んでみてください。