怒りへの対処
相手が怒っているときの対処法を教えてください。相手を観察すればよいのでしょうか?
それはケースバイケースなんですね。たとえば相手が父親で、カンカンに怒って怒鳴っているような場合、こちらは聞くことしか、選択の方法がありません。父親の怒りの中に入ってしまうことなく、「父親が怒っている」と怒りを観ます。そうするとおもしろく観察できるんですね。普段の父はやさしくて何でもやってくれるのだけれど、怒ったらこんな調子なのだと観察しながら、お父さんの話をゆっくり聞いてあげてはいかがでしょうか。
また、話し合いのような場面なら、やはり観察して、相手の怒りが爆発しているような状態なら、「今話してもうまくいかないですから、怒りがおさまった後で話しましょう」と提案してみるということもできます。
相手が自分に対して怒っているなら、自分の中に原因を探すというような観察を行った方がいいのでしょうか?
原因が自分にあるにしても、怒っていれば何も通じません。相手はいわば『動物』になっているのです。たとえ自分に原因があったとしても、謝って許してくれるような状態でなければ、怒りがおさまるまで逃げてもかまいません。原因が相手にある場合はなおさら話が通じないでしょう。とにかく、その動物状態がおさまってから、きちんと謝るなり、相手の間違いを指摘するなりした方がいいのです。
人から馬鹿にされたり、何を言ってもけちをつけられたり、あげあしを取られたりするような場合、何か良い対処法がありますか?
そういう場合は、私たちも腹が立って、怒ったりしますね。それは一般的なことですが、あまりよくないことだろうとはわかりますよね。そこでちょっと考えてもらいたいのです。人のことを馬鹿にする人というのは、一般的に自分のことは大げさに言うという性格の人だと思います。要は人間的にできていない人なのです。そのような人に怒るということは、自分の価値を下げることなのです。たとえば暴走族が夜うるさい場合は、相手が人間ですから、何とかしてくれと警察に訴えても意味がありますが、野良猫野良犬が吠え始めたときには、これに怒る意味はないんですね。犬猫のことだからと、無関心でいた方がいいのです。
ですから、真に受けないことですね。どうぞ自由にやってくださいという感じで、受け流しておいた方がいいのです。馬鹿にされて怒っちゃうと、苦しいのは自分なのです。馬鹿にする方の人は、口から言葉を発した途端に忘れてしまっている可能性もあります。気にしていないのです。それなのに、自分が損する必要はまったくないでしょう。自分はそんな人の言葉にめげない、落ち着いた人間だということを思い出して、1,2回やってみれば、楽になると思いますよ。
それで余計に攻撃が激しくなった場合はどうすればよいのでよう?
どんなに激しく攻撃されても、冷静でいた方がよいですね。相手に一言言い返して、怒らせて満足している人もいますが、戦いは長くなるばかりでちっとも解決しません。いやみを言う方法もあまりよくありません。馬鹿にされたら「ありがとうございました」なんてね。智恵があれば、『正しいいやみ』を言うこともできますが、なかなかむずかしいことなので、自信がないなら、冷静に観るということに徹した方がいいのです。
こちらが本当の意味で冷静でいれば、そのうち相手が自爆します。自爆というのは、精神的に自分に気づくことです。自分が何と醜い人間かと、自分に見えるところまで落ち着いてくるということです。誰にでも失敗したことはあるはずです。ですから、誰にも、人を馬鹿にすることはできないはずなのです。そしてまた、馬鹿にされたからといって、馬鹿になるほどつまらないことはありません。