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ブッダが幸せを説く

人の道は祈ることより知ることにある 

アルボムッレ・スマナサーラ長老

心の平安は少欲知足の実行によって

話が少し難しくなりそうですので元に戻しますが、私たちは人生に苦しんでいること、不満であることを潔く認めようとしません。一流の人間になれば、自信のほうも自然についてくるものと勝手に思い込んでいます。
そこで、不安をなくすために生きるために必要なありとあらゆる道具を集めにかかります。道具というのは家や家具だけではなく財産、知識、名誉なども生きる道具だと思っています。そういう道具を揃えることもまた大変な苦しみです。社会に認められるくらいの財産を貯めることも、認められるほどの知識人になることも、名誉を得ることも並大抵のことではありません。

そしてそのような道具を揃えさえすればしっかり生きられると思ったら、それは大きな期待はずれになります。何故ならば、その道具を揃えるためだけに、一生苦労をしなければならないからです。たとえ生きる道具がいくらか揃ったとしても、人生とは何かを十分に理解していなければ正しく生きられません。
私たちの社会では、資産家や、知識人や、有名人であったりしても、非常に悩み苦しみが多く、不満やストレスがたまりすぎて無茶なことをして、個人的な生き方を破壊してしまう人も少なくないのではないでしょうか。

生きる道具が揃っただけでは意味がないのです。またその、生きる道具を揃えること自体も、大変な苦しみの道でもあります。

生きるということの意味を理解しておかなければ、生きるために道具を使えないのです。生きるということは、不満・苦しみ・競争・戦い・失敗・失望のような経験の流れです。その流れのなかで、たまに楽しみ・満足・充実感をおぼえるだけなのです。それを理解しないで人間が生きることは不安だから、安心しようと必死になって、知識や財産、名誉などの道具ばかり集めていきます。それだけでは幸福になるわけがありません。

生きるということは苦しみであること、満足を得られないものであることに納得したほうがはるかにラクです。平和で安心して生きるために、自分に最低限どれくらいの道具が必要かと理解すれば、それだけでとてもラクになります。
たくさんお金がなくても、抜群の知識人でなくても、自分が得たもので満足して平安な心で生きられるならば、それが本当の道具の正しい使い方です。

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ブッダが幸せを説く
人の道は祈ることより知ることにある 
著者:アルボムッレ・スマナサーラ長老
初版発行日:2001年5月13日