ブッダが幸せを説く
人の道は祈ることより知ることにある
アルボムッレ・スマナサーラ長老
いま、幸せであることが大事
お釈迦さまはそういうことをきちんと説いたのです。人間はすべて平等で、人のために役立つように生きていくことが正しい生き方であり、それができて初めて心を育てていくことができるのだ、と教えるのです。
そしてそういう生き方を実践できた人が限りなく心を育てていけば、やがて解脱に至るのだとおっしゃるのです。
それはすべての苦しみからの完全な脱出、完全な心の平安なのです。それは神さまのご褒美などではなく、その人が積み重ねてきた良いおこないの結果なのです。
ですから、私は二千六百年前に説かれたお釈迦さまの智慧は、現代二十一世紀にこそ役に立つのではないかと言いたいのです。
訳もわからない色々な迷信に走るのはやめたほうがいいのです。面白いと思ったら少しくらいなら興味を持ってもいいけれど、それはお遊びの精神で楽しむことです。様々な宗教聖典に書かれているような世界の終わりなど来ても来なくても自分の人生には何の関係もないでしょう。世界の終わりどありはしません。たとえあったとしても、それはそれでいいではありませんか。
もし明日世界の終わりがやってくると言われても、今日一日自分のやるべき責任をきちんと果たして充実して生きられれば、何の不安もなし。
過去について悩むのもまったくのナンセンスです。明日について思い煩うことも考えることもばかげています。
幸せとは、今現在元気で充実感があって、自分が今やるべきことを全うすることで生命が満足すること、それに尽きるのです。
最後にお釈迦さまのこの言葉を覚えておきましょう。
Atītaṃ nānvāgameyya, nappatikaṅkhe anāgataṃ.
Yadatītaṃ pahīnaṃ taṃ, appattañ ca anāgataṃ.
Paccuppannañ ca yo dhammam, tattha tattha vipassati.
過去を追うな、未来を期待するな。
過去はすでに過ぎ去り、未来はいまだ現れず。
いま現在のみを観察せよ。
中部経典 131
この施本のデータ
- ブッダが幸せを説く
- 人の道は祈ることより知ることにある
- 著者:アルボムッレ・スマナサーラ長老
- 初版発行日:2001年5月13日