智慧の扉

2016年4月号

性格を直すキーワードは“素直”

アルボムッレ・スマナサーラ長老

 私たちはいつでも「自分が正しい」という態度をとっています。試みに、これを意識的に認めてみてください。自分自身で「いつも自分が正しいという生き方をしている」と敢えて意識化するのです。普段、そのような気持ちは無意識的です。しかし、意識化することで性格がすぐに直っていきます。直るということは、ものすごく楽な生き方ができるようになるということです。

 たとえば、自分の意見をしゃべるときにもきちんと遠慮ができて、相手が異論を立てても悩み苦しまずに「そういう意見もありますね」と受け止められる、優しい人間になってしまうのです。いたって簡単です。「自分が正しい」というスタンスで生きていることを、その事実を意識的に認めるだけです。
 
 次に、自分の過ちを隠さないことです。もし過ちが見つかったら直ちに正す努力をする。普通、自分の過ちを隠すでしょう。それは「自分が正しい」と思っているからなのです。自分が正しいと思っているのですが、表立っては言わない。しかし、過ちは隠すのです。

 仏教では、成長する人間は過ちを隠せないと言っています。過ちを素直に認める。それはすごく性格がいいということなのです。なぜなら、人は誰だって間違い・過ちを犯します。基本的に誰も完璧ではありません。私もあなたも過ちを犯します。それを隠そう隠そうとして、隠していい顔だけしようとする。「オレに過ちはない」という態度を取ったら、それは大きな間違いです。現実は、過ちだらけです。自分の過ちを認めて「あっ、すみません。間違えました」と言えれば、人生はとても簡単になります。
 
 日常生活の場合でも、先輩たちや経験のある人のアドバイスを聞いてみること。専門家がいるならば、その人のアドバイスも聞いてみるのです。
 
 それから、自分が過ちを犯してしまい、誰かに「それは間違っている」と指摘を受けたら、「あぁ、そうですね。これは間違いです」と認めて、相手から「こうして下さい」と教えてもらったことを真面目にやってみる。そうした当たり前のことで、自分の性格をひとつずつ改良していくのです。